2010年07月14日

◆レクチャー「イリヤ・カバコフの世界」

特別講義のお知らせ
鴻野わか菜 「現代ロシア美術へのアプローチ イリヤ・カバコフの世界」

日時 2010年7月16日(金) 午後4時50分~6時30分

場所 東京大学(本郷キャンパス)文学部3号館7階 スラヴ文学演習室
113―0033 東京都文京区本郷7―3―1

交通 地下鉄丸ノ内線・大江戸線「本郷3丁目」、南北線「東大前」、千代田線「根津」など下車、いずれも徒歩10分。

問い合わせ先 東京大学文学部スラヴ文学研究室
電話・ファックス 03(5841)3847

★東京大学スラヴ文学大学院演習「世界/日本文学へのアプローチ」(沼野充義教授)の枠内で行なわれる特別講義ですが、専門的関心をお持ちの方の聴講を歓迎します。聴講希望者はできるだけ、事前に、カバコフ『プロジェクト宮殿』およびカバコフ+グロイス『対話』のロシア語テキスト抜粋を読んできてください(正規履修者は必須)。テキストのコピーはスラヴ文学研究室にあります。

★参考図書
カバコフ著、古賀義顕・鴻野わか菜訳『プロジェクト宮殿』(国書刊行会)
沼野充義編『イリヤ・カバコフの芸術』(五柳書院)

2010年06月21日

◆ダーチャへの旅

今週の木曜に、千葉大学文学部の授業にスペシャルゲストをお招きして、アンナ・グーセワ氏の公開レクチャー 「ダーチャへの旅――モスクワ郊外の別荘地の類型と生活様式」がひらかれる。原稿用紙で35枚ほどのロシア語の報告原稿を、さきほど訳し終える。

庶民が敷地で農作物を育てながら夏の休暇を過ごし、特権階級が敷地の広大な自然を楽しんでいた「別荘」であるダーチャ。グーセワ氏は、そののどかな場であるはずのダーチャの歴史が、ソ連の政治と国家のありかたと深く結びついていることを示し、ダーチャの生活文化や建築にも言及している。刺激的なレクチャーであり、モスクワ郊外で収集したダーチャの映像も上映される。

2010年06月14日

◆連続公開レクチャー「日本とロシア2010」

千葉大学文学部 公開連続レクチャー 「日本とロシア」

ロシアの若手研究者をお招きし,日本とロシアの住宅と郊外の専門家であるアンナ・グーセワ氏にロシアのダーチャ(別荘)の生活文化について,宮崎駿のアニメーション映画などの字幕翻訳家であり、日本語研究者であるアンナ・パーニナ氏に、映画の翻訳についてお話しいただきます。
入場無料・事前予約は不要です。講義は日本語,あるいはロシア語(日本語の逐語通訳付き)で行われます。どうぞ奮ってご参加ください。

2010. 6. 24 (木)10:30-12:00
アンナ・グーセワ
「ダーチャへの旅――モスクワ郊外の別荘地の類型と生活様式」
Anna GUSEVA 東京大学大学院工学系研究科博士課程

2010. 7. 1 (木)10:30-12:00
アンナ・パーニナ 
「映画翻訳の諸問題」
Anna PANINA ロシア連邦アカデミー東洋学研究所専任研究員/千葉大学外国人研究員


場所:千葉大学西千葉キャンパス 人文社会科学総合研究棟(社会文化科学総合研究棟)4階 共同研究室2
住所:千葉市稲毛区弥生町1-33
問い合わせ先:千葉大学文学部 鴻野わか菜研究室

2010年05月29日

◆Facebook0531

台湾とロシアの友人に誘われて、世界で最も規模の大きいSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)だというFacebookを先月始めた。

おかげで、もう二度と連絡がとれないだろうと思っていた知人たちと「再会」でき、かれらが相変わらず世界中を放浪していたり、あるいは母親になっているのを知った。

5年ほど前にモスクワで会ったアメリカ人の青年の消息も分かった。
ドストエフスキーの小説の登場人物のように浮世離れした彼とは、詩の朗読会場で知り合った。
『カラマーゾフの兄弟』のアリョーシャや、『白痴』のムィシキン公爵を思わせる目をしたその細面の青年は、大学でロシア文学を学んだあと、東欧出張が多い仕事を探してスポーツ用品のセールスマンになり、ロシアにザイルを売りに来ていたが、スラヴ世界と他の地域の交流促進と、全世界の失業者救済とを目的にした不思議な会社を作ることを夢見ていた。
私と友人たちは、瞬時にかれの世界に魅了され、いつかそんなユートピア的な会社で皆で働けることを願った。

だが、Facebookはもっぱら仕事のために便利なように思う。
ゆるやかなつながりを保っていたいロシアの研究者やアーティスト、ギャラリー、若手詩人に、最近の作品について尋ねたり、ギャラリーから定期的に美術展の情報が送られてきたり。インターネットで行き交うのは情報だけで、実際に見たり会うことなしに、あるいは図書館や美術館に行くことなしにはなにもできないが、今は身軽にロシアに行ける状況ではないので助かることもある。

プライヴァシーの問題や、一種の「中毒症状」がメディアでも取り上げられ、5月31日にみんなでFacebookを止めようというキャンペーンも進行中だが、来週の当日、インターネットの世界で何かが起こるだろうか。

2010年05月04日

◆亡命者宛ての小包

二ヶ月ぶりにBBC.Russianのロシア語ブログを更新する。タイトルは「亡命者宛の小包」

最近、モスクワに住むロシア系ユダヤ人の友人が語ってくれた話について。
彼女の父親が、40年間会っていない従姉の行方を探すことになった時、とっくに外国へ移住しただろうと思いこみ、カナダやアメリカ、イスラエルを探しまわったが、どこにも見つからなかった。だが2年後にふと思い立って調べてみたら、モスクワの元の家にまだ住んでいたという。ロシア系ユダヤ人にとって、どれほど移住が日常的な事柄だったかが分かるというものだ。

モスクワの郵便局では、老人が、おそらくは孫に読ませるために、大量のロシアの絵本を海外に小包で発送している光景を時々見かけた。
先日、ロシア文学者のイタリア人の友人が、エルサレムの図書館でロシア系ユダヤ人作家の資料を収集した数ヶ月のあいだ、ロシアから移住してきたユダヤ人の老人の家に間借りした。その老人も、アメリカに住む孫がロシア語を忘れないようにと、時々ロシアの絵本を送っていた。
そこで友人は、私が以前彼女にプレゼントしたロシア絵本――日本で復刻されたロシア・アヴァンギャルドの絵本――を、老人のためにもう一組贈ってくれるように頼んだ。

私が送った本は、千葉からナポリへ届き、そこからエルサレムを回ってアメリカに渡った。面白いのは、送った本の中に、世界中を旅する郵便の冒険を描いたサムイル・マルシャークの『郵便』があったことだ。絵本の物語と同じように、本自体も世界を一周する旅を体験したのだ。

2010年03月08日

◆ヴァシモエ・マールタ

ロシアの友人から早々にインターネットのカードが届き、今日が3月8日(ヴァシモエ・マールタ)、国際婦人デーであることに気づいて、私も急いでカードを送る。

3月8日の祝日を大々的に祝う伝統のあるロシアでは、この日、男性が妻や恋人、友人や同僚に花束(たとえば、このカードのようにミモザを)を送るだけでなく、女性どうしも小さなプレゼントやカードを送りあう。

8marta.gif

2010年03月01日

◆野良犬の記念碑

BBC.Russianに書いた記念碑についてのエッセーに読者がコメントを寄せてくれて、ロシアにも犬の記念碑があることを知る。殺された野良犬の記念碑だという。

その犬はモスクワの地下鉄のメンデレーフスカヤ駅に住みつき、「マーリチク(男の子)」という名で呼ばれて、地下鉄の職員たちに可愛がられていたが、ある日、ナイフで惨殺されてしまった。その数年後の2007年2月に、「同情の印」として、また、「人々の関係もより良いものになるという望み」をこめて、殺された犬の銅像が同駅に建てられた。

忠犬ハチ公の物語が映画化されて話題を呼んだが、ロシアの野良犬の物語も、もし映画化されれば興味深い作品になるかもしれない。迷子になった子猫の視点をつうじて新生ロシアの混乱と人情を描いたイワン・ポポフ監督の『こねこ』が好例だが、無力な動物の視点で社会を描く時、世界の残酷さもあたたかさも、いっそう際立って表れてくる。

もちろんそれは、映画だけではなく、文学でもしばしば用いられる手法だ。たとえば、コンスタンチン・セルギエンコが野良犬たちの夢をつづった児童文学『さようなら、谷よ』のように。あるいは、19世紀の作家イワン・ゲンスレルが猫を主人公にペテルブルクの風俗をユーモラスに描きだした小説『本人の語りによる猫ワシーリイ・イワーノヴィチの伝記』 のように。ロシア版の『吾輩は猫である』ともいえるゲンスレルの小説は、今まだ読んでいる最中だが、ゴーゴリ的な文体が小気味よく、笑いを誘いもするし、ほろりともさせる。

sobaka.jpgメンデレーフスカヤ駅の殺された野良犬の記念碑

2010年02月18日

◆「ポスト・スターリン時代の文化的想像力」

参加している研究会の国際ワークショップのお知らせです。

「ポスト・スターリン時代の文化的想像力」

日時: 2010年2月22日(月)12:50‐18:30
会場: 東京外国語大学 事務棟2F中会議室
入場無料、日本語通訳付き

[プログラム]
司会: 沼野恭子
12:50 開会の挨拶 亀山郁夫(東京外国語大学学長)
13:00―13:40 【基調報告】アレクサンドル・ゲニス(評論家)
「亡命ロシアの《第3の波》――自由の仮縫い」

13:45―14:35 【言語文化セクション】アレクセイ・ワルラーモフ(モスクワ大学
教授、作家)
「土壌主義者と自由主義者の見たソヴィエト文学の《正当派》と《異端派》」
コメンテーター: 中村唯史(山形大学准教授)

14:45―15:35 【政治文化セクション】塩川伸明(東京大学教授)
「《成熟=停滞》期のソ連社会――政治人類学的考察の試み」
コメンテーター: 鈴木義一(東京外国語大学教授)

15:35―16:00 休憩

16:00―16:50 【表象文化セクション】西周成(映画作家、映画研究者、合同会社
アルトアーツ代表)
「ソ連における《ポスト冷戦型》映画文化の形成――雪解け時代の再考」
コメンテーター: 岩本和久(稚内北星学園大学教授)

17:00―17:50 【歴史文化セクション】池上善彦(『現代思想』編集長)
「戦後日本のスターリン文化―― 1950年代を中心に」
コメンテーター: 前田和泉(東京外国語大学准教授)

18:00―18:30 全体討論

東 京 外 国 語 大 学
〒183-8534 東京都府中市朝日町3-11-1
JR中央線「武蔵境」駅にて西武多摩川線に乗り換え、「多磨」駅下車、徒歩5分
お問い合わせ: 沼野恭子研究室 nukyoko@tufs.ac.jp (←@を半角に変えてください)

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