2009年12月30日

◆子供たちの年の瀬

BBC.Russianのサイトで、ロシアのニジェゴロド県ジヴェーエヴォ村にある、7歳から17歳までの111人の子供たちが暮らす養護施設の年の瀬が紹介されている。テクストと写真は、イリヤ・ワルラーモフ(1984年生)。テクストはロシア語だが、食堂に急ぐ子供たちや、新年のプレゼントを開ける場面など、14枚の印象的な写真が掲載されている。

子供たちは皆、新年を前に2つのプレゼントの袋をもらう。1つの袋には、歯ブラシ、石けん、靴下などの実用品が入っていて、もう1つの袋には、おもちゃと沢山のお菓子が入っている。子供たちは、9年間の初等教育を終えた後、専門学校で技術を学ぶ。
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2009年12月25日

◆ロシアのクリスマス・カード

ロシアの検索エンジン「ヤンデックス」のグリーティングのページで、ソ連時代のお菓子や広告を思わせる、ノスタルジックな色彩のいかにもロシアらしいクリスマスカードを見つけた。

ロシア正教のクリスマスは1月7日。だからロシアでは、クリスマスツリーは新年の風物詩でもある。カードの中でツリーの横に立っているのは、ロシアのサンタクロース(マロースおじさん)。

Праздничная ёлка
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2009年12月18日

◆カバコフ『プロジェクト宮殿』

ロシアの現代アーティスト、イリヤ・カバコフの『プロジェクト宮殿』の共訳書が、やっと刊行された!

イリヤ/エミリア・カバコフ『プロジェクト宮殿』
鴻野わか菜・古賀義顕訳
国書刊行会 2009年12月

カバコフが作りだした架空の旧ソ連の人々が提案する「幸せになるため」の65の奇想天外なプロジェクトを、絵本のかたちにしたアートブック。

下記の古いバージョンの訳者前書き(共訳者と何度も書き直したので、本書にはこれとは全然違う前書きが載っている) にもあるとおり、大人のための絵本、ファンタジー、不条理文学、SFとしても愉しめる、ユーモラスだがどこか切ない不思議な作品だ。

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日常を離れて旅に出よう――訳者まえがき

わたしたちは毎日が心配ごとでいっぱいで、身も心も緊張し、課題や仕事に追われています。そういうことから逃れてひと休みするためにはどうすればいいでしょうか。まず、自分の部屋の壁ぎわの床に小さなマットレスを敷いて、壁に幼いころに好きだった絵本の挿絵を画びょうで留めましょう。このマットレスに横になって絵本の挿絵を眺めたら、あなたは幸せな子供時代に戻ることができるはずです‥‥‥

あるいはこんな方法もあります。まず、夜のとばりが降りたら自分の部屋でひとりになって机につき、部屋のあかりを消します。それから机のほんの一角だけを照らすようにランプをつけます。するとあなたはただちに気づくでしょう。目のまえに思いもよらぬ新しい神秘的な世界が現れていることに。メモ帳、ペン、定規、クリップの箱、消しゴムなど、日ごろ机の上にあるありふれたモノたちが、この魔法の光の円のなかでは、あなたがそれまで思いもよらなかった姿をしている。なによりあなた自身が変わってしまう。あなたはみるみる縮んでいき、光を浴びた訳のわからない巨大な物体に囲まれて、物体のひとつひとつを見てまわるのです。

心を静めるために、食料、水、ラジオ、本などを持ってクローゼットに閉じこもるのもいいかもしれません。天井の近くの棚に動物や樹木の模型を並べて自分だけの「天国」を作って眺めるのもよいでしょう‥‥‥

――これは、旧ソ連出身の現代作家イリヤ・カバコフが本書で提案する65のユニークな “プロジェクト”の一部です。『プロジェクト宮殿』は、旧ソ連に住む人々の夢や計画を保存する博物館として構想された巨大な立体作品ですが、作品のストーリーを絵と文章で表した“アーティスト・ブック”である本書は、大人のための絵本として、また、ファンタジー、不条理文学、空想科学小説として愉しめる独立した作品になっています。

本書に登場するのは、基本的にはカバコフが作りだした架空の人物たちです。天使の羽を背につけることで優しい人間になろうとする車掌、古着や雑誌の切り抜きなどありとあらゆるゴミをとっておくことで思い出をつなぎとめようとする音楽教師など、ごく普通の人々がささやかな夢や計画を語ります。なかには、輝くロケットで夜空を照らしだす地球規模の夜間照明や、都市の中に自然をとりいれた未来都市の建設、正真正銘の「時間旅行」など、近未来的、ユートピア的なプロジェクトを提案する人々もいます。これらのプロジェクトはみな、他愛がなくて荒唐無稽なだけにどこかもの悲しくもあるのですが、作者は宮殿の「建設」によって、実現しなかった夢や希望に永遠の居場所を与えようとします。

ですが、『プロジェクト宮殿』は、壊れた夢を保存するたんなる記憶の冷凍庫ではありません。ここに収められたプロジェクトは、崇高なものから不謹慎なものまで、どれもとびきりの冗談のようでありながら、生活をよりよくしたい、切符も買わず列車にも乗らずに苦しい日常を離れて「旅」に出たい、世界をもっと住みやすい場所にしたいという切実な願いに貫かれています。わたしたちは本書におさめられた65のファンタジーの世界を旅しながら、いつしか自分たちの日常を今までとは違うまなざしで見ることができるようになるでしょう。本書を読み終わるころには、わたしたちの頭や心は常識やストレスから解き放たれて、日常を楽しむための自分だけのプロジェクトを自由気ままに思いつくようになっているかもしれません。

それでは旅に出かけましょう。明日、今日と同じ場所で、今日とは違う世界を目にするために。