2008年05月05日

◆青春のロシア・アヴァンギャルド展

6月21日から渋谷Bunkamuraで,1999年に開館したモスクワ市近代美術館の所蔵展である「青春のロシア・アヴァンギャルド シャガールからマレーヴィチまで」が開催される。

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カンディンスキー,タトリン,シャガール,マレーヴィチをはじめ,ナターリヤ・ゴンチャローワ,ダヴィード・ブルリューク,エル・リシツキー,ミハイル・ラリオーノフ,アリスタルフ・レントゥーロフ,パーヴェル・フィローノフら,30人の作家の70点の作品が展示される。第二次世界大戦期にロシア,フランス,北欧の国々を居場所と仕事を求めて転々とし,最期はパリでナチスの手に落ちたウクライナ系ユダヤ人画家ウラジーミル・バラーノフ=ロシネー,静物画の詩人ダヴィート・シュテレンベルグの作品も見所である。

本展の中核となるのは,ロシア未来派の旗手マレーヴィチと,グルジアのプリミティヴィズムの作家ニコ・ピロスマニ(ピロスマナシヴィリ)の各10点の作品である。グルジアの首都チフリスの居酒屋や商店で,日々のまかないとひきかえに装飾画を描いて糊口をしのいだピロスマナシヴィリの生涯は,ロシアの流行歌『100万本のバラ』やブラート・オクジャワの歌のモデルになり,ゲオルギー・シェンゲラーヤ,セルゲイ・パラジャーノフ監督によって映画化されるうちに,愛と絵に生きた放浪の作家として伝説的な存在になっていった。

本展のカタログのエッセーを書くために,当時のロシアの作家や画家達が記したグルジア旅行記や作品集を読んだ。ピロスマナシヴィリの神話化は,1913年,死の5年前にロシア未来派の作家達に「発見」され,モスクワの展覧会で遅いデビューを飾った時から,ロシアの美術界だけでなく文学界でもすでに始まっていた。急速に閉塞感を増すソ連初期を生きた作家達は,多元的なチフリスとピロスマナシヴィリの世界に,自分たちが失った理想郷を重ねあわせたのである。

ピロスマナシヴィリの画業と生涯は,四方田犬彦,山口昌男ら各氏のエッセーとともに作品を紹介した画集『ニコ・ピロスマニ―1862-1918』(文遊社,2008年3月刊)でも触れることができる。

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