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2008年03月21日

◆善き人のためのソナタ

『善き人のためのソナタ』(Das Leben der Anderen,監督:フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク,2006年ドイツ)を見る。本作は,1984年の東ベルリンを舞台に,シュタージ(国家保安省)の諜報員ヴィースラーの体験を描き,第79回アカデミー賞外国語映画賞を受賞した。

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出世と保身をもくろむ同僚とは一線を画し,国家への忠誠心から職務を遂行するヴィースラー(ウルリッヒ・ミューエ)は,反体制の疑いのある戯曲家ドライマン(セバスチャン・コッホ)とその恋人クリスタ(マルティナ・ゲデック)の監視を行ううちに,今まで信じてきた主義や国家に疑問を抱きはじめる。

映画に登場する「被疑者の体臭のコレクション」や秘密警察のアーカイヴから,愛読書である河合純枝『地下のベルリン』(文藝春秋,1998年)を連想した。収容所,核シェルター,資料庫など,ベルリンの地下の建造物から20世紀ドイツ史を見つめた名著である。同様の視点からモスクワとソ連史について語ることもできるのではないかと考えている。

Photo: Kobal/SonyPicturesClassics/TheKobalCollection/WireImage.com