◆台所のスプレマティズム
細かく切り刻まれたサラミと黒パン。これはロシアの現代アーティスト・グループ〈青い鼻〉の新作《台所のスプレマティズム》である。

今年のモスクワ国際フォト・ビエンナーレでは,ロシア・アヴァンギャルドの画家マレーヴィチの絵画を皿の上に「再現」したこの作品を前に,観客たちが苦笑していた。
海外展開を視野にいれた現代ロシアのアーティストが,自分のアイデンティティとして「ロシアという特殊性」を際だたせようとする時に,外国の批評家や美術好きの観客に受けやすいロシア・アヴァンギャルドを主題に選ぶという傾向は,この数年で始まったことではない。
《台所のスプレマティズム》が,サラミや黒パンといういかにもロシアらしい食材を使うことで,アヴァンギャルド芸術とロシア料理を同列において,「消費されるものとしての異国情緒」を表現しているとしたら,それはそれで〈青い鼻〉らしいアートへの批判ではないか。
Blue Noses (Viacheslav Mizin and Alexander Shaburov).
Kitchen Suprematism. 2005.
