◆すぐそこは森
画家の夫妻といっしょに,グルジア美術を研究している友人のところにお客にいった。画家夫妻のご主人のほうは,ロシア・アヴァンギャルドの影響を感じさせる幾何学模様を使って版画や立体作品を制作しているアーティスト。この夏も現代アート・フェスティバルやいくつかの展覧会に参加して活躍しているが,やはりアーティストの生活は厳しい。今月からある学校で美術史を教えはじめたが,プロの教師として恥ずかしくない授業をするためにしっかり準備すると制作にそそぐ力が残らないので,悩んだ末辞職したと聞いて,いろいろ考えさせられた。食事の後,4人で森を散歩した。市の中心部から車でわずか20分のヤロスラヴリ街道脇には深い森が広がっている。雪の深夜に歩くのがとりわけきれいだという。アパートのすぐ右は森,左は都心に続く街道。2つの世界を行き来できるこんな場所に住んでみたい。
友人は私の家族がサーラが好きだと知って,前もって作ってお土産にくれた。サーラは豚の脂身のかたまりをハーブと塩で味付けして布にくるみ,冷蔵庫で1週間寝かせて作る昔ながらの食べ物で,スライスして黒パンにのせて食べる。映画『誓いの休暇』や『国境』で登場人物たちが実においしそうに食べているのがこれ。ウォッカのつまみに最適だが,幸い(?)ウォッカは出なかった。
