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2004年08月17日

◆内戦と華

友人達と一緒に新トレチャコフ美術館のボリス・クストージエフ展,クローキン・ギャラリーの《冷夏》展(キリル・チョールシキン,コンスタンチン・バティンコフら)を取材。

ボリス・クストージエフは,1920年代を中心に活躍した《芸術世界(ミール・イスクーストヴァ)》グループの画家で,豊満な裸婦を描いた《美女》シリーズや,食物,酒,音楽,美しい衣服で彩られた祝日の光景を描いた一連の華やかな作品で知られる。忘れられがちなのは,クストージエフがこれらの楽天的ともいえる作品を制作したのは,内戦期の最も困難な時代,誰もが死と隣り合わせで痩せさらばえていた時代だったこと。戦争中に描かれた彼の《幸福》な絵画は,苛酷な現実が流れこむのを恐れるかのように余白を残さず隅々まで描きこまれ,独特の緊張感を感じさせる。革命で失われた旧世界を描くにあたって,クストージエフは印象派の影響を受けつつユートピア的な色彩を編み出した。彼はそのパステル調の色彩を革命をテーマにした作品でも使っているが,彼のほとんどの革命画は,デコレーション・ケーキのような色彩と大仰な内容のミスマッチで,諷刺画に見えることがある。クストージエフの輝く色彩は,皮肉なことに後の社会主義リアリズムの《ユートピア的絵画》に受け継がれていく。

友人は,新トレチャコフ美術館から海外文学図書館まで歩きながら,あちこちの塀にスプレーで描かれた落書きを示して,これも現代文化の一端だから撮影してまわっているという話をしてくれた(写真)。《Зачем》(何のために)という言葉と星(ソ連のシンボル)を組み合わせた落書きは,反戦運動をする若者のグループが描いているとのこと。戦車や犬の絵が添えられていることもある。モスクワ川沿いの空地の塀には,十数のグループの落書きがひしめいていた。

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